月輪熊に御用心

TROUT JAPAN FIELD STAFF    佐藤 剛


【道を渡る熊】

梅雨も明け切らない7月中旬の秋田。連日の猛暑に渓に向かう足取りもリニアクラスであった。
その日は某ルアービルダーの
「俺のかもしれない?あゆ」
を携えて秘密の花園に向かった。

【秘密の花園】

鮎の遡上の全く無い渓で茶鱒も反応するのか?が釣行の目的だった。
秘密の。。。だけあって入渓地点は夏草でびっしりと生い茂り、藪漕ぎ必須な状態であった。仕方なしに入渓できそうな斜面をクズのツルを命綱に滑り降り何とか流れに出た。そこで見たのは、、、二種類の先行者の足跡。どこから遡って来たのか前日の人間の足跡と、真新しいカモシカの足跡。気を取り直し、例のルアーを結ぶ。



【俺のかもしれない?あゆ】

暫く遡ること500mは茶鱒の付きそうなスポットにもウー様が!猛攻を受けることに、、、

【ウー様の逆襲】

次第に流れが細くなり
明らかなポイントに突入。
先行者の影響だろうか、深場には姿形も見えない。タイミングを間違えたのだろうか、、、次に狙ったのは瀬の頭、、、来た!!待望のアタリ!!しかも良型!!
慎重にやり取りするもジャンプ一発、、、感触がなくなってしまった。所謂「バラシ」と言うやつですかねぇ?
その後も気温から判断し瀬を狙って行く。何尾かのキャッチは出来たもののチビッコばかりだった。

【茶鱒①】

【茶鱒②】


【茶鱒③】

いよいよ本命のポイントに差し掛かった。本筋の流れに小沢からの流れ込みの合流地点であり、今までのぼっきた唯一の脱出ポイントであった。
流石に先行者アリの状況では一投目勝負!狙ったスポットに見事に決まった!
糸ふけを取りナチュラルなリーリングをと思うか否か、、、
ジャバ!ジャバ!ジャバ!・・・
視線を上げるとルアーが着水した1m先に、、、


【川を渡る】

熊だ!

しかも、デカい!


【川岸】

ドッドッドッドッ・・・!
自分の心臓の音が
耳から聞こえてきた!

【こんなデカさ】

これまで何度か出会ってはいるがいつも熊に突っ込まれても大丈夫な状況だった。しかし、今回は違う!近すぎる、、、デカい、、、。瞬時に考えたのは、もうダメだぁ~!急に動いたら気づかれ向かって来られる。ルアーを静か~に回収。

【妄想】

ふと熊に目をやると、こちらが風上なのに気づかないふりをしているのか?
今度は小沢をジャブジャブ・・・
逃げるなら今しかない!咄嗟の判断で下流向かって後ずさり開始。身も凍る時間だった。そのうち、熊の姿も沢に消えていった。すかさず下流へとプール3つ分程走った。このまま下流に下って滑り降りた斜面を登るか?考えているうちに向かってやられたら大変!そうだ!ツキノワグマは甲高い人の声や物音にびっくりして逃げるってことを思い出した。意を決して叫びまくった!
ハッキリしたことは覚えてないが
「ウォー!」とか「そっちゃ行ぐど~!」とか叫んだのだろう。10分は叫び続けたであろうか、もう離れたであろうことを祈りつつ、出会った場所に一歩一歩叫びながら足を進めた。もちろん脱出点から脱出するために。姿が見えないのを確認するや否や一気に坂を登り上がってなんとか無事に車道に出た。カサカサ、、、バッタが出す音にビビりながら無事に車まで辿りついた。

後から思い出したことであるが、カミさんの父親がその昔、この山系で熊と相撲をとって血だらけになった話を、、、
いつもの釣り場ではあるが、人里離れた山奥にいないわけがない。熊だってこんな山奥に人などいるわけがないって思っているのかもしれない。ましてや、熊の場所にお邪魔している私たちなのかもしれない。常に念頭に置いておかなければならないって、北海道の友人たちが言ってたことも浮かんできた。
いつも付けてる熊鈴を車に忘れてきてストーキングの釣りにてっしていたことも、仲間の都合で単独釣行になったことも、鉢合わせの要因に結びつくことだろう。
たまたま助かったが、
くれぐれも会わなくていい出来事であった。
長文にも関わらず、最後まで読んで頂いた皆さんのより良い釣行に繋がれば幸いである。

※文書中の熊の写真はあくまでイメージです。写真を撮るなど全く考えられない時間でしたから、後日ウェブから見つけてきたものを拝借しております!m(_ _)m

【分布】

【生態】